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2021.5.17 抵当権抹消登記
長年支払ってきた住宅ローンを完済し、金融機関より完済書類一式を受領したが、時間がなく抵当権の抹消登記を申請せずにいたところ、5年も経ってしまった。あらためて自分で抵当権の抹消登記を申請しようと思い、完済書類を確認してみたら、書類に記載されている代表者はすでに退任していた。
このような場合、新たに完済書類を発行してもらう必要があるのでしょうか。
不動産登記の申請書には、申請人を記載(個人の場合「住所、氏名」、法人の場合「本店所在地、会社名、代表者の氏名」)する必要がありますが、どのようにしたらよいでしょうか。
今回は、このようなケースについてお話したいと思います。
✿完済書類に記名押印されている代表者がすでに退任してしまっている
ローンを完済すると金融機関より完済書類一式が交付されます。その完済書類の中には、登記に使用するものとして、例えば、①「弁済証書」や「解除証書」といったローン返済がなくなり抵当権が消滅する旨などが記載された書面や②抵当権の抹消登記を金融機関から委任する旨の「委任状」などがあります。
今回のケースでは、これらの書類に記載あるのは「すでに退任した代表者」です。
この点、これらの書面が有効なものか不安になる方もいますが、これらの書面はその当時権限を有する者が作成しているのであり、その後会社の代表者に変更が生じても、その有効性に影響はありません。
もっとも、委任状についてはどうでしょうか。
委任による代理権は、「本人の死亡」「代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと」「委任の終了」をもって消滅するとされています(民法111条)。そして、委任の終了事由として、「委任者又は受任者の死亡」「委任者又は受任者が破産開始の決定を受けたこと」「受任者が後見開始の審判を受けたこと」とされています(民法653条)。
しかし、不動産登記法において、「本人の死亡」「本人である法人の合併による消滅」「本人である受託者の信託に関する任務の終了」「法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更」によっては、代理権は消滅しないとされています(不登法17条)。そして、「法定代理人」の中には、会社の代表者も含まれるとされていますので、「すでに退任した代表者」が権限を有しているときに作成した委任状に基づき、登記申請をすることができることになります。
このようなケースであっても、新たに完済書類を発行してもらう必要はありませんが、一般的にはあらためて金融機関に「現在の代表者名義の委任状」を交付してもらい登記申請をしていることが多いですから、一度金融機関に問い合わせしてみるのもよいかと思います。
✿登記申請書の記載
では、今回のケースでは、抵当権の抹消登記の申請書には、どのような記載をすればよいのでしょうか。
申請書に記載する申請人が法人の場合、「本店」「商号」の他に「代表者の氏名」を記載しなければなりません(不登令3条)。この「代表者」とは、現在の代表者です。したがって、申請書は「現在の代表者」、委任状は「すでに退任した代表者」となりますから、一緒に提出する委任状が適切なものなのかどうかがわかりません。そこで、委任状の適格性を明らかにするため、申請書に下記の事項を記載する必要があります(平成5年7月30日民三第5320号通達)。
「当該代表者の代表権限が消滅した旨」
「当該代表者が代表権限を有していた時期」
今回のケースのように時間が経ってしまい、その間に金融機関の記載に変更が生じてしまうことがあります。可能であるなら、完済してあまり時間を空けずに登記をされた方が良いのではないかと思います。
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